甘い誓いのくちづけを
それから程なくして、話題は自然と文博の事へと移った。


「それにしても、バカ博には本当に呆れるわね!こんなに可愛い婚約者がいるのに、二股してたなんて!」


彼の事を“バカ博”なんて呼ぶさゆりに、苦笑してしまう。


「大体、瑠花は甘いのよ!あたしなら指輪は質に入れるし、そのお金で豪遊してやるわ!ついでに別れ際にはコーヒーでもぶっ掛けてやるし、ビンタも入れるわね!それから、相手の女にも会わせるように言うわ。まぁ、その女に文句言ったところで仕方ないから、女には別に何もしないけど」


彼女が平然とそんな事を言って退けたのは、あたしの為に怒ってくれているから…。


婚約を破棄された傷は、まだ酷く痛むままだけど…


さゆりの優しさは、素直に嬉しかった。


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