甘い誓いのくちづけを
よく考えれば、理人さんみたいな男性(ヒト)とどうにかなるなんてある訳が無い。


顔も、スタイルも、立ち居振る舞いまでも隙が無いような、完璧な男性。


いくらさゆりに言い切られたとは言え、そんな男性(ヒト)が自分(アタシ)に気があるかもしれないなんて一瞬でも考えてしまった自分自身に、深いため息をついた。


「身の程を弁(ワキマ)えるのよ、瑠花……」


どこをどう取っても普通でしか無い、自分(アタシ)。


それなのに、理人さんみたいな素敵な男性(ヒト)と釣り合うはずが無いのだ。


だけど…


今度会った時には、理人さんの事を一つでもたくさん知りたい。


キンと冷えた空気を放つ1月の夜空の下、あたしは痛む胸の片隅でそんな事を考えていた――…。


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