甘い誓いのくちづけを
―――――――…



「今日は、本当にありがとうございました」


夕陽が沈み切った住宅街で頭を下げると、理人さんが申し訳なさそうに笑った。


「本当は、夕食も一緒にと思ってたんだけどね……」


「仕方ないですよ、お仕事なんですから。それよりお昼をご馳走して頂いたのに、お茶までご馳走になってしまって……。すみませんでした」


ドライブの途中で寄ったカフェでも、理人さんは実にスマートに支払いを済ませてくれていた。


トイレに立っている間に支払いを済ませるのなんて、ロマンティックな映画やドラマの中だけの出来事だと思っていたけど…


それをあまりにも自然に熟していた理人さんは、やっぱりどこかの王子様なんじゃないかと思う。


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