甘い誓いのくちづけを
冗談めかしているのに、その声は至って真剣で。


あたしの心を鷲掴みにするのに、充分過ぎる程の威力を持っていた。


会いたい、と思う気持ちが益々強くなる。


もうどうしようもない程、理人さんに会いたい。


「に、逃げたりなんか……しません……」


ドキドキと高鳴る胸を隠して呟けば、彼の柔らかい笑顔が脳裏に浮かんだ。


「じゃあ、覚悟してて?」


今更、覚悟も何も無い。


今はもう、理人さんの事だけしか考えられないから…。


「おやすみ、瑠花ちゃん」


「おやすみなさい……」


理人さんの声をもっと聞いていたくて、わざとゆっくり返事をしたけど…


あたし達を繋いでいる電話は、呆気ないくらいすぐに切れてしまった。


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