甘い誓いのくちづけを
取り出した携帯のディスプレイに表示された名前を見て、胸の奥がギュッと締め付けられた。


【理人さん】


今日こそは理人さんとちゃんと話そうと思っていたし、何よりも彼に会いたくて堪らなかった。


それなのに…


そんな風に感じていたのは、もう随分と前の事のように思える。


震える親指で電源ボタンに触れ、唇を噛み締める。


意を決して親指に力を込めると、程なくして涙と雨で濡れたディスプレイが真っ黒になって…


大好きな人の名前が、スッと消えた。


その瞬間に込み上げて来たのは、喉に張り付くような熱。


「さよなら……」


それと一緒に震える声で小さく零した言葉は、降り注ぐ涙雨に飲み込まれてしまった――…。


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