甘い誓いのくちづけを
好き……


そのたった二文字を声にする時間すら惜しくて、精一杯の想いを込めて理人さんにギュッと抱き着いた。


その直後、シトラスの香りに包み込まれる。


「瑠花」


優しい声音に胸の奥がキュンと鳴くのを感じて、こんな気持ちを感じさせてくれる存在をこの瞳(メ)に刻みたくて…


あたしの体を抱き締める理人さんの首元から、ゆっくりと顔を上げた。


昨日はあんなにも恋しく感じた人が、今は目の前にいる。


それだけで、あたしの世界は幸せで満ち溢れていく。


絡み合う視線から伝わるお互いの気持ちを、もっともっと近くで確かめたい。


だから…


きっと、今はもう言葉なんていらない。


そう感じた直後、どちらからともなく唇を重ねていた――…。


< 525 / 600 >

この作品をシェア

pagetop