甘い誓いのくちづけを
さすがはプロ、と言うべきなのか…。


まるで魔法に掛けられたお伽話のお姫様のように、鏡に映る自分(アタシ)は別人みたいだった。


女の子なら、誰でも一度はお姫様に憧れるものだろう。


もちろんあたしにだってその経験はあるし、正直に言えばそれは一度や二度の事では無い。


だから、今の状態に戸惑いながらも、心がとても弾むのがわかった。


だけど…


「あの……こんな高級なドレス、あたし……」


所詮、あたしは普通のOL。


庶民のあたしにとっては、Mon amourのワンピースをたった一着購入するだけでも、それなりの覚悟が必要になる。


ましてや身に纏っているのが高級そうなドレスとなれば、せっかくの素敵な魔法も素直に喜ぶ事は出来なかった。


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