甘い誓いのくちづけを
「瑠花さんって、本当に可愛いわね。やっぱり、貴島君には勿体ないと思うわ」


「同感」


「二人とも、そんな事言ってたら貴島さんに怒られますよ」


今度は何故か意気投合した英二さんと間宮さんを、甲斐さんが苦笑しながら窘めている。


あたしは『可愛い』と言われた事が恥ずかしくて、そんな三人を前に顔を隠すように俯いて小さくなっていた。


「それより、二人も何か頼めば?」


「ここの紅茶はとても魅力的だけど、実は上のバーで瑠花さんを待っている人達がいるのよ」


「え?あたしですか?」


「えぇ。ほら、行きましょう」


「……そういう事か」


小首を傾げたあたしの手を引いた間宮さんの後ろで、英二さんが全てを見透かすようにフッと笑った。


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