甘い誓いのくちづけを
どう考えても、宿泊代まで支払って貰う理由は無い。


ましてや、理人さんとは昨夜が初対面だったのに…。


どうすればいいのかわからないままだったけど、フロントスタッフに彼の連絡先を訊く訳にもいかなくて…


「……ありがとうございます」


戸惑いを隠すように微笑んでから顔を上げ、やっとの思いでそう告げた。


「お気をつけて」


最後まで笑顔の男性スタッフに再度お礼を言って、会釈をしてからフロントを後にする。


そして、ホテルを出た所でメッセージカードを開いた。


そこに書かれていたのは、今日の日付。


それから、待ち合わせの時間と思われる時刻と、このホテルの近くにあるフレンチレストランの名前が、綺麗な字で記されていた。


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