甘い誓いのくちづけを
感慨深げに青空園での事を思い出していると、やっと目的の駅に着いた。


どんなに急いでも約束の時間に間に合わない事は、青空園を出た時からわかっていた事。


だけど…


ほんの少しでも早く着きたくて、改札口を抜けてから走った。


レストランに向かう途中、ヒールの高いパンプスのせいで何度も躓(ツマズ)いてしまって…


信号待ちをしている時、ショーウインドーに映った自分を見て、ハーフアップにした髪が崩れている事に気付いた。


走って風を余分に受けた事も、相俟ったのかもしれない。


慌てて纏め直したけど、鏡も無い上に焦っているせいで上手くいかない。


それでも、あたしは何とか信号が変わるまでに出来る限り髪型を整えて、信号が変わった瞬間にそこにいた誰よりも早く走り出していた。


< 78 / 600 >

この作品をシェア

pagetop