やせっぽちの愛 ~慟哭!~
第二章 蠢動編

(九)別れ

もうあれから、一ヶ月だ。
一気に書き上げたものの、何度か書き直して。

結局、midoriさんに送ったのは、二月に入ってからだった。
雪が降り続ける中を、大事に抱え込んで、〒局に持ち込んだのに…。

折り目を付けたくなかったから、大き目の角封筒で出した。
切手代が…いや止めよう。
そんなお金の問題じゃないんだ。

うん?…住所、書いたっけ。
差出人は、書いたっけ。

どうだったっけ? 
ヤッバイ! 忘れたかも…

ひょっとして、家の人に変な手紙だって、ポイ! されたかも。
あぁ、何てことを!

入れてあるのは、小説だけだもんな。
手紙を入れようかとも思ったけど、何て書いていいのか分からず…。

やったね!
住所の書き忘れなんて、するわけがないじゃないか! 

それに、midoriさんのお母さんも、誉めてくれたって言うし。

「どんなひとなの? 
お母さんも、会ってみたいわ。」

ひっひひ! こらっ! 
何て下品な笑い方をするんだ。

へへ…春ですね、春ですよ。
お外も春だし、こっちも春だ!

midoriさん、大人びた詩を書くんだな。
幾つなんだろう、midoriさんて。

タメ年だとばかり、思ってたけど。
お姉さんなんだろうか。

僕のこと、お子ちゃまだって、思ってないか?

こうなれば詩は諦めた。
小説で勝負だ。

おいおい、何言い出すんだ? 
勝負してどうなるんだ。

midoriさんと、喧嘩するつもりなのか?
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