今さらなのよ!
隆祐の顔にかかった髪の毛をかすみは右手で横に流してあげようと思った。


すると、おでこにかすみの指がふれて、隆祐はいきなり「うっ!」と声をあげた。


「えっ!?ええーーーー!!!」



そして次の瞬間、2人はまるで宇宙空間を彷徨うように浮いていた。


隆祐とかすみが顔を見合わせ、驚いている。



「か、かすみちゃん・・・俺・・・。」



「しっ・・・。これは記憶?私の記憶とは違う・・・。」



3隻の宇宙船から追われる1隻の宇宙船。
追われた宇宙船は攻撃を受けながらも追手の宇宙船を反撃で撃墜し、その後地球の大気圏へと入ってしまった。


そして何とか形だけはとどめるように不時着はしたが、生存者はわずか1名でそれは若い女性だった。



その後、その女性はある政治家の家で暮らすようになり、ブティックで働いていた頃に男性と不倫関係になり子どもをもうける。


子どもが3才になったある日、女性に夢を通じて故郷の星から迎えが来る連絡が入り、子どもを連れてもどるか、地球に子どもを残すか悩んだあげくに子どもは地球に残して帰還するが、長年の星間戦争の結末はどちらも疲弊しきって戦力はなくなり、人は他の星へと移住していき、人さえもいない世界となってしまった。



「私は移住船団の生き残りだと教えられたわ。
施設に入る前におばあちゃんに教えてもらったことはそれだけなんだけどね。」



「俺の失われていた記憶・・・だ。
どうして小さな頃の記憶、母さんの記憶がないのかずっと悩んでいたけど、これが俺の・・・。

かすみちゃんに会って気になって仕方がなかったのはそのせいなのか。
俺も宇宙人の血をひいているから。」



「そうみたいね。ふふっ」
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