今さらなのよ!
かすみは聞こえてくる隆祐の心の声に驚きと喜びを感じた。

でも今は一刻も早く止血と治療をしなくては!


かすみは満ちてくるエネルギーに今持てるいっぱいの願いをかけて隆祐の傷口に当て続けた。


すると出血は止まり、腫れあがった部分も徐々に回復し始めた。


「これだったら助かる!大丈夫だからね。隆祐さん。」


「かすみちゃんは強いから・・・。ありがと。」



「ううん、私はもうだめだってあきらめかけてたのに、隆祐さんは死にそうな体で私に力をくれたわ。

やっぱり・・・王子様なのね。私とは・・・。」


かすみは隆祐から顔を背けてつぶやいた。



すると、隆祐は声を荒げてこう言った。


「元の世界のしがらみがあるかもしれないけど、今は同じ日本人だろ。
さっきみたいな攻撃してくる輩もまだいるのは確かだけど、もう俺が治める国なんてない。

俺はついこの間まで何の力もなかったサラリーマンだった。
でも、俺を覚醒させたのは誰だ?
こんなふうにしたのはかすみちゃんだろ。」




「私に責任をとれと言うの?」



「違う。そうじゃなくて、そうじゃなくて・・・俺のそばに居てほしい。
あ、学生だからずっとっていうのは無理なんだろうけど、あの・・・俺とつきあってほしい。」



「えっ!」



かすみは隆祐にふれていた手を引っ込めようとしたが、隆祐に掴まれてしまった。



「あの・・・」
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