黄緑絵の具



『ス、ミレの……所へ……はぐれ……る、前に……』


桑原氏は訴え続ける。


上手くいくかはわからない。

だけどこれしか方法はない。

ポケットからビー玉を取り出し、握りしめた。

『ベリアル! 早くこっちに!!』


もう片方の手でベリアルに手招きをする。


しかしベリアルは柔らかく微笑み、首を振った。


『我は行かぬ。
ここは任せて、早く行け』


その微笑みはとても美しくて。

本当の神様かも、とまた思ってしまった。



僕は紫色のビー玉を、精一杯の力で床に叩きつけた。




ビー玉が粉々に砕け散ったと同時に、僕の視界は真っ黒な闇に包まれた。



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