黄緑絵の具


ベリアルに渡されたファイルを掴み、僕はキッチンまで全力で走った。

『スグリッ!』

コーヒーを淹れる後ろ姿を抱きしめる。

『シュウ! 火傷しちゃうよ!!』


怒られたって構わない。

だってこんなに嬉しくてたまらない。


『スグリ。すぐに結婚しよう』


こっちを向かせたスグリの顔は呆けている。

『……え?』

『僕の家族になってください!』


ベリアルの予想通り動くのは癪だけれど。

『うん! ずっとずっと一緒にいようね』

嬉しそうに笑顔を浮かべたスグリを再び抱きしめた。


二人で歩むこれからの人生。

平凡な幸せでもいい。

もう独りじゃない。


それがとても嬉しかった。



『もう絶対に離さないから』


スグリの頬にそっとキスをした。


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