机の穴(仮)
いやいや、ないだろ。

あたしは頭をぶんぶん振って、深く深呼吸をし、呼吸を整えてからそっと穴に耳をつけてみた。



何も聞こえない。



ついさっきまで確かに聞こえていたつぶやきは、空耳だったのだろうか。


……きっとそうだ。気のせいだったのだ。


あたしはそうして気持ちを切り替えて、昼食にと持ってきたパンを紙袋から取り出した。
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