わき役の私…花咲く




「でもさ俺…まひると離れる気は無いんだ」



優しい目で私を見ながら、そんな事をさらりと言う樹に、大人になった私はむず痒くなる。









「まひる…仕事辞めて、俺と結婚して」



むず痒さに耐えてた私へ、真っ直ぐな目と真剣な顔を向けながらのそんな言葉に、

丸くした目と驚いた顔を返した。



昼の飲食店で騒がしい人の声も、お店に小さく流れる音楽も、
何も聞こえなくなった。



結婚…………。





樹はそんな私を見て、優しく笑うとポケットから小さな四角い箱を出した。



その箱を私の目の前に出せば、私に見えるように箱を開ける。



中には、ダイヤの付いた綺麗な指輪が輝いていた。



その指輪を箱から取り出し、
それを覗き込むようにジッと見ていた私の手も握った樹は、


私の指にその指輪をはめた。




 
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