儚き願い





慣れない手つきで、僕は料理を作り始めた。
君はいつの間にか起きてきていて僕に言ったんだ。





「へたくそ」
って、
君は僕の手を見て・・・





僕は包丁を持った事なんてなかった。
そのせいか、手のあちこちを
見事に切ってしまっていた。





「蓮華。ごめん」
僕は蓮華に謝った。





「それは何に対するごめんなの??
生気(えさ)のこと?
それとも、昨日のお祝いのこと?」
蓮華は僕に静かに言った。





「その。全部をひっくるめて。
ごめん。隠すつもりなんかなかったんだ!」
僕は謝った。





「私に捨てられるのが怖い?」
蓮華は僕に言い放った。


そう言った蓮華の表情を見て僕は
それは今までに見たことがない
蓮華を知った。






それは何を考えているのか、
全く分からない、

怖いほどの













無表情。














.
< 30 / 100 >

この作品をシェア

pagetop