儚き願い
慣れない手つきで、僕は料理を作り始めた。
君はいつの間にか起きてきていて僕に言ったんだ。
「へたくそ」
って、
君は僕の手を見て・・・
僕は包丁を持った事なんてなかった。
そのせいか、手のあちこちを
見事に切ってしまっていた。
「蓮華。ごめん」
僕は蓮華に謝った。
「それは何に対するごめんなの??
生気(えさ)のこと?
それとも、昨日のお祝いのこと?」
蓮華は僕に静かに言った。
「その。全部をひっくるめて。
ごめん。隠すつもりなんかなかったんだ!」
僕は謝った。
「私に捨てられるのが怖い?」
蓮華は僕に言い放った。
そう言った蓮華の表情を見て僕は
それは今までに見たことがない
蓮華を知った。
それは何を考えているのか、
全く分からない、
怖いほどの
無表情。
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