儚き願い





「しゅ・・な・ん。
ワシはもう・・・良い
逃げるんじゃ・・・」

今にも死んでしまいそうな繕桜の姿を、僕と守楠の目は正確に映し出していた。





「繕桜さまなりませぬ。我は死ぬまで繕桜様に尽くします。恩は決して仇にして返したくありません。」
守楠は繕桜に言った。





これが本当の主従関係?
だとしたら?
僕と蓮華は何という関係に
あったのだろうか??





「守楠。僕も君に力を貸す。朱雀さんの目的がなんなのかはよく分からないけど。ぼくと蓮華の過ごした村が、朽ちていくのを見ているだけは嫌だ。それがたとえ誰だったとしても、僕は許さない。」
僕の口は迷いのない様に、言葉を並べていった。





嘘、偽りなど全くなく・・・
死ぬと言うことにも
恐怖感など湧かなかった。





「ほほう。お前までそっちの見方をするとはな。思っても見なかったよ。」

朱雀は僕を見下す様な目で言った。





「朱雀さん。僕はあなたに負けたりはしない。僕はあなたを許さない。」

僕は普段滅多に感じない、怒りと憎しみの表情を露わにした。




「いい顔してるね。殺してやるって感じの…非常にいい目だ。」

そう言って朱雀さんは軽く僕を鼻で笑い、馬鹿にした様に言った。





僕の意識はそこで途切れてしまった。

















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