【完結】ヒミツの極秘結婚【社長×秘書】


怖くて、言葉に出来ない。
……言ってしまったら、それこそ離婚しましょうと言われても仕方ないと思うからだ。

「社長、お車の準備ができました」

「ああ、今行く」

俺は車に乗り込み、打ち合わせの資料に目を通す。
その姿を、横目で見る美優紀に、俺もまた気にかけていた。

「社長、今夜は外食に行きませんか??」

「……え??」

俺のことを心配したのか、美優紀がそう問いかけた。

「……色々あり、お疲れと思いますので、たまには外で食事をと思いましたが。……いかがですか??」

「ああ……そうだな。行こうか、食事。気晴らしになるかもしれないし」

「はい。では、お店の予約を……」

「いや、いい」

「え??ですが……」

「今夜は、行きたい店がある。俺の行きつけの店なんだが、ビーフストロガノフが美味しい店だ。……どうだ??」

「ビーフストロガノフですか??いいですね。行ってみたいです」

「じゃあ、決まりだな。俺が予約を入れる」

美優紀に初めて教える俺の行きつけの店。
いつか教えたいと思っていたが、いい機会だ。
美優紀に教えたいと思っていた。特別な時に、連れて行きたいと思っていたから。
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