【完結】ヒミツの極秘結婚【社長×秘書】
最初は秘書としての仕事もまともに出来なかったが、今ではなんでもこなせるようになった。
だけど社長の秘書なんて、なかなか務まるわけはない。
だってあの社長だもの。
社長の秘書にならなきゃわからないよ、社長のあの気まぐれさは。
今はもう慣れたけど、最初は本当にもう辞めたくて仕方なかったくらいだ。
なんせ、普段仕事にあまり不満を持たないわたしでさえ、辞めたいと思ったくらいだから。
正直よく今まで辞めないで続けてこれたと、つい自分を褒めたくなる。
「社長、失礼します。そろそろ会議のお時間ですので、準備をお願いします」
「わかった」
「……社長、ネクタイが曲がっていますよ」
「じゃあ直してくれ」
「それはご自分でお願いします」
「……なんだよ。冷たいな藤枝は」
いや、そう言われても……。
「わたしはもともと、そういう人間ですから」
「藤枝ってさ、ほんとに何考えてるかわからないよな」
「それはわたしも同じです。社長はなにを考えているのか、わたしにはわかりません」
「ふーん。まぁそうだろうね」