組対のデカ
 課長級以上の上級職員たちの聴取が終わると、次は下の人間たちに対し、聴取が行なわれる手筈である。


 一課の速水や越沼たち殺人犯捜査七係のデカたちは出払っていて、聴取できなかった。


「今現在、捜査一課殺人犯捜査七係の速水警部補と越沼警部は自分たちの班を率いて、退職した長谷川勇平元警部補の転落死事件を追っているようですね?」


 荒井が一課の管理官で警視の北山院に尋ねると、北山院は事実関係を認め、


「ええ。西新宿署に設けられた帳場では、私が速水や越沼を担当してますし、あの警官たちも必死になって捜査しているようです」


 と答える。


「では二つの班の動きに特に不審な点はないと?」


「はい。監督者の私もちゃんと認識しておりますので」


「長谷川元警部補は自殺だったのですか?それとも自殺に見せかけられた他殺だったのですか?」


「これはまた妙なことをお聞きになる。どちらの線も否定できません。ですが、あの事件が他殺であった可能性はあります。ワープロ打ちの遺書も、転落した際の状況も不自然で、およそ自殺だとは考えられないことばかりですから」
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