組対のデカ
　捜査会議で使われた資料は状況証拠ばかりが記載されていて、決定打がない。


　俺たち組対のデカも、一課でも先に速水が動いたことは必然だろうと感じていた。


　それだけ勘に頼るデカの方がスタートがいいということだろう。


　もちろん捜査方針はそれぞれの班が一堂に会する帳場で話し合われているとは思うのだが……。


　速水は長谷川が転落したと思われるビルの屋上をもう一度調べるつもりでいた。


　多分、決定的証拠を得るためには現場にもう一度行くことが肝心だと思ったようだ。


　それに俺たち組対もじっと見続ける気でいたのだし、なぜ退職したマル暴の長谷川がビルから落ちたのかが一番の疑問だった。


　長谷川が自殺する動機は見当たらない。


　あの自殺が偽装工作だったとすれば他殺となるのだし、誰か別に犯人がいて、長谷川を落としたことも十分考えられる。


　退職したマル暴は普通捜査上握っていた情報等に関して、ちゃんと引継ぎを行なっていたはずだ。


　なぜビルから落ちたのか理由が分からない。
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表紙・目次

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