組対のデカ
 捜査員は投入されている。


 必要な分だけ。


 それに仮に速水班の捜査員の方が早く長谷川転落死の謎を解いたとしても、遅れを取った形となる越沼たちは帳場でいろんな意見を言い出す。


 捜査で出遅れたとしても何ともないのだ。


 俺たち組対はずっと公安と連携しながら、クスリや銃の摘発を行なっていた。


 特に北へと出港する船は必ず関係者が見張る。


 組対五課にとって美味しいヤマなのだ。


 俺も倉田五課長から言われたことがある。


「一課が長谷川さんの転落死で屋上にあったワープロ打ちの遺書に付着してた指紋から、河村組系列の大塚会構成員、北川嘉美を追い始めた。お前らは引き続き、国内における闇ルートに投入されたブツの行方を追え」と。


 鑑識の鑑定結果で遺書からは北川の右手親指と人差し指の指紋が出たようだった。


 照合の結果、一致している。
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