狼少女と初恋。

自覚。



あっという間に日々は過ぎ、
今日は那月たちの卒業式。


「なっちゃん
 卒業しちゃうんだね~。」

寂しそうに乃愛が呟く。
楽天的に聞こえてしまうが、
乃愛の大きな瞳の中には
涙が滲んでいる。

「そう、だね。」

私も寂しい。
アノ時から私の心の中には
モヤモヤして抜けない
ナニかがあった。
この気持ちの名前が分からない。
焦りも感じていた。

やがて、卒業式も
お決まりの代表挨拶となった。
那月は成績はまぁまぁのくせに
代表に選ばれたようで、
壇上に上がっていく。

『卒業生代表挨拶
 桜の花も蕾を
 見せかけた今日___。』

もぅ、学校に来ても
那月はいないんだ。
そう思うと、急に
涙腺が緩みだした。
< 13 / 100 >

この作品をシェア

pagetop