狼少女と初恋。


「鷹凪せんせー、
 私偏頭痛なんです。
 休ませてください。」

適当な理由をつけ、
さっきまで鷹凪先生が
寝ていたベットに
腰掛ける。

「あんなに大きな足音で
 走ってきた人が偏頭痛ですか?」

「…う。」

「座るだけならいいですよ?」

20代前半だろうか。
若そうに見える。
だから、私の気持ちも
分かるのかな。
1人になりたい。

鷹凪先生は、
何かを察したようで、
ベット周りのカーテンを閉め、
1人にしてくれた。

周りが真っ白になった途端、
さっきの光景が目に浮かぶ。

「…っふ…え…」

涙にぬれる頬を拭えという
意味だろうか。カーテン下から
白いタオルが渡される。

「……うぅぅ…。」

今日は鷹凪先生の
優しさに救われた。
私だけだったらきっと
何も考えられなかった。
無意味に泣き、
無意味に喚き、
ただただ、迷惑かける。

「…ありがとぉ…ございます。」

小さく呟き、
そのまま、眠ってしまった。
遠くで「いえいえ。」という
声が聞こえた気がする。

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