スノードロップ

 そうなのだ。

 自覚はあったのだ。

 だからこそ、スノウはあの男の存在を無視した。一度認めてしまえば、スノウは罪悪感に苛まれる。自分を手籠めにしたことはもちろん、生きているか死んでいるかもわからない兄に申し訳がない。憎まなければいけない相手。決して心を見せてはいけない相手。それなのに、あの男が部屋に訪れるたび、心がざわついた。

 あの男に魅力なんてひとつもない。

 憎んで憎んで、殺したいくらい憎い相手。

 しかし、姿を現さなくなってから、スノウは安堵するどころか、さらに心が荒れた。

 いっそのこと死んでしまえばいい。この世から消えてしまえばいい。そうすれば、スノウがわからない不安に夜中目を覚ますこともなくなる。

 だから彼に白い花(スノードロップ)を贈った。

 あなたの死を望みます。

 口にはできない、願いを込めて。
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