どうして好きなんだろう

真尋の助言通り、私は不安定な気持ちのまま、ただ時間だけが通り過ぎていった。


夏休み目前のこの時期は、いくら教室の窓を全開にしていても汗が引くような爽やかな風はちっとも吹いてくれなくて。

微かに聞こえてくる蝉の鳴き声がよりいっそう暑さを感じさせる。


「じゃあ香月は、第1志望T大希望でいいんだな?」

「はい。」

放課後の教室で、担任の先生に答える。


今は最終進路相談の真っ最中。朝のSHRで提出した用紙を見ながら髭面の担任がふんふんと頷く。

「そうだな。香月ならまぁ大丈夫だろう。でもな、まだまだ気を引き締めていけよ。」

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