あんたなんてほんと大っ嫌い! …嘘。大好き。【完】



「もう大丈夫ですよねー雪仲さん!」


そんな大きな声が耳に響き

「あぁ。」


力のない声が聞こえた。

そ、爽也…?


「いいらしいぜ。ヤッちまおうや!」


ヤダ、いや!やめて


「・・・やめ・・・」


バカッ!!!!



部屋中に鈍い音が響き 渡った。


目の前には…
誰?


誰かが私を抱えて くれてる。
震える手で優しく…


「ごめんな…」



苦しくて、悔しくて 切なそうな声・・・。


誰?やめて、そんな声出さないでよ・・・


「コレやってっつったの雪仲さんスよね?ここまでやらしておいて中途で止めさせるんスか?いくら雪仲さんでもそれは無理ッスよ~」


話が所々聞こえない…。誰か分からないけど逃げて、あなたまで殴られる…


私の思いは声に出てた みたいで…


私のもう目もよく見えない顔に水滴がポツッと落ちた。


何、雨?


違う…コレ涙だ…


「マジごめんな…お前のそういうとこ好きになったハズなのにな…俺、どうかしてるよ」


どうして泣いてるの?

大丈夫だよ。あなたには 私がいるから・・・。


「優しいなぁ、お前…」


その人は泣きながら笑ってる。良かった。



「何、泣いてんの?頭イッちゃってんじゃない。いつもの爽也に戻ってよ、一緒に悪い事いっぱいしたじゃん!?」


桜井が何か喚いてる


「わりぃけど、もうコレやめてくんね?」


私を支えながら何か言っている。


何だろ、もう耳も聞こえない。



「は?無理。あんたも一緒に潰すから!私を裏切ったらただじゃ済まない事教えてあげる。」


「そう言うと思ったよ!!」


私の耳にはもう音しか 届かない。














私の意識はそこで途絶えた。















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