太陽には届かない

動揺

オフィスに入ると、吉田はラフな格好で机の下に潜り込んでいた。


『オイッス!』


陽菜はカバンをデスクの上に置くと、吉田の顔を覗き込む。


『陽菜!悪りぃな、実はブレーカー落ちてさ…』


『えぇっ?!何で?』


吉田はあたりを見回すと、小声でその人の名を口にする。


『オマエの上司だよ!林さん!』


『マジで…?落としちゃったの?』


陽菜は呆然とした。


システムのプログラミング中は、最新の注意を払い作業しなければならない。

ブレーカーが落ちたなんていうのはもってのほかだ。

吉田は休日出勤して、システムの確認をしながら、今後の構築方法を考えていたらしい。

そこに、なぜか休日出勤していた林カオリが、給湯室でブレーカーを落とし、復旧しようとしたが、よりによって階全体のメインブレーカーをいじったらしい。


『予備電源は?バッテリーとか繋いであったんでしょ?』


『それが…まだだったんだよな…』


吉田は、心なしかしょんぼりした顔でうつむく。

『で、今はどんな状態なの?』


『いや…大体は頭に入ってるから…一通り復活かけたんだけど、打ち合わせ内容に間違いないか、チェックしてくれないか?』


『わかった。確か、課長のデスクに議事録あがってるはずだから、それ取ってくる!』


陽菜は吉田のいるオフィスを出ると、経理部へと走った。


途中、喫煙室の前を通ると、そこには2つの人影が見えた。
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