触れないキス
そう、だよね……

柚くんが忘れるわけない。

約束を破るわけない。

──だから、いつかきっと、また会えるよね?



「……うん、わかった」


しばらく泣いた後、ようやく納得した私はぐしぐしと涙を拭った。

そんな私を見て一度頷いた立花さんは、ふっと口元を緩ませてうっとりしたような表情を見せる。


「いいわねぇ〜恋って♪」

「恋……?」



何がいいのか、あの時の私には分からなかった。

でも、はっきり理解したことが一つ。


あの天使みたいな笑顔が見たくて、優しい声を聞きたくて。

ただ、会いたくてたまらない。

彼のことを考えるだけで、胸がぎゅっとわしづかみにされたみたいに苦しくなって、なぜだか涙が溢れてくる。


柚くんに対する私の気持ち

これが“恋”なんだって──。




< 19 / 134 >

この作品をシェア

pagetop