DARK HERO 処刑人&闇医者
「リッキー、今回は俺の出番はないよな」


女から彼氏の詳しい住職とプロフィールを聞き出し、車から追い出した。

一服した後に、そんなわかりきった質問を俺に投げ掛けてくる樫原。


「殺してくれって言われりゃ、命を奪うのが俺の役目だ。お前は命を救う立場だろ」


手元のナイフを弄ばせ、俺は言い切った。

樫原は濁った煙を細長く吐き出し、鼻で笑う。


「"命を救う立場"ねぇ…あながち間違っちゃいねーな」

「簡単に分けりゃ、俺は殺戮者、お前は医者だ」

「更に付け加えんなら、お前は悪魔殺戮者、俺は闇医者だ」

「…………」


樫原のしたり顔が、座席を振り返って俺に向く。



「デビルハンターとして、つーより処刑悪魔だな」

「魔界から脱け出した悪魔を見付けて殺す、それが汚れ役だろうが人間に怨まれる対象者になろうが、俺の役目は変わらない」

「あの色欲の悪魔も、最期に女の腹の上で一生を終えたかったろうよ」

「さっき殺したあの男の事を言ってるのか」

「イケメンの人間に成り済まして女を騙す野郎だよ」

「本性も人間と変わらねぇだろ、あんな悪魔もその辺の人間も」

「…可愛くねぇの」


樫原は煙草を携帯灰皿に押し付け、車を出した。


向かう先は、あの女の彼氏の元。

俺は手元のナイフを消して、鉄バットを召喚させた。


「ここで素振りすんなよー」

「目的地に着いたらお前で試す」

「ハッハッハ、笑えねぇ」
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