岬の夕陽
しばらくして。岬に向かって人影が近づいてくるのに気づいた。

女の子らしい。

やがてその人影があの食堂の女の子だということに気づくのに、そう時間はかからなかった。

彼女は違った。

全くこちらに気づかず顔を伏せながら小走りにやってきた。

やがて彼女も史郎に気がついたが、そこに人がいることが意外だったのか、素っ頓狂な声を出した。

そして後ずさりして、引き返そうとした。

「待って!…大丈夫ですか?」

史郎は食堂の時のように声をかけた。

だが彼女は食堂の時のようではなかった。
< 8 / 15 >

この作品をシェア

pagetop