遠い距離


毎日毎日、彼とのメールのやり取りは楽しかった。


短い文章で絵文字もない。内容はただのたわいもない話。



それでも私は楽しかった。


彼からのメールが来る度、自分の頬がいつも緩む。



何年も会わないままの遠距離恋愛。



だけど、私はこのメールが来るだけで充分だった。



想いを伝えることが苦手な彼が、一生懸命に考えながらメールを打ってくれたのだと思うとそれだけで心は温かくなった。



他人から見れば素っ気ないメールでも、私には彼の心をいつも感じていた。



あ、そうか。



違和感が今、分かった。
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