ホームレスな御曹司…!?
「報告を兼ねた食事。そんなに固くなるなよ?」


───ポン


オレは運転席から手を伸ばし、知香の頭に乗せる。


「ハイ…」


助手席の知香は、やっとこの会話諦めがついたのか、盛大な溜め息をついて車の外の景色に目をやった。


そう。


今日はオレの両親に初めて知香を会わせる日。


母さんは前々から家に連れて来いとうるさかったし、親父も凛との縁談が破棄されてからオレの結婚を焦っていた。


近文グループの現社長がまだ独身でいるというのが、気に入らないらしく、


「相手がいるなら結婚しろ」


というのが、口癖だ。
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