小さな幸せ
「和実、君はとってもいい子だよ。

 素直で一生懸命で。


 人の気持ちに敏感で。


 とても優しいね。


そんなところが俺は大好きだよ。


でも、

自分の本当の感情を出さないのは悪い癖。


簡単にいえば、


君は人に嫌われたくないんだ。


そりゃ、誰でもそうだけど、


君の場合【自己犠牲】がベ-スなんだ


前の職場の話を聞いたときにも思ったよ。


誰の悪口も絶対言わない。


こうなったのは自分のせいだからって

自分が悪い、自分が我慢すればってね。


たとえ本当に君が悪いところがあったとしても、

そこにはそうなった他にも事情も理由もあるのに

君はそこんとこ全部言葉を飲み込んでるんでしょ?


そんなんじゃ相手は君が傷ついてるって判らないよ。


今、救われるのはたまたま君に理解のある人たちが

周りにいてくれたことだ。


葵さんて人と、それから高須覚君もだね。


なあ、和実君はもっと、さっきみたいに

自分の言いたいこと、

やりたい事をはっきり言わなくてはいけないよ。


それで、困ったことになっても、今よりずっといい。


少なくても俺にはちゃんと話して欲しいな。


君が思ってること困ってること全部。


約束して?

どんな君も俺は受け止めるから。」



ずるいよ


誰も触れなかった私の悪いところを指摘しているくせに

最後はしっかり甘い言葉でを繋ぎとめちゃうんだ。


私はきっと惣さんの傍を離れられなくなる。




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