小さな幸せ
大学の友人の勤めるイタリア料理店に向かう。

結構有名な店で、

田舎にあるためお忍びで色んな人が来るらしい。


韓国俳優のミョン様も来たらしい。


友人の春山セリは、

この店のオナ-とこの秋結婚をする。


「和実いらっしゃい。

 急に来るって言うからびっくりしたよ。」


「ん、ごめんね?」


「のっこも呼んだからそのうち来るからね。

 知ってた?

 のっここの近くの歯医者と結婚してセレブなの、

 ここにもよく来るんだ。」


「へえ、なつかしいなあ。」


「のっこもそう言ってた。」


「シェフ兼オ-ナ-の特製ランチご馳走するから楽しみにしてて、」


「ええ、いいよ。お金は払いたい。」


「何言ってんのあたしはオ-ナ-の妻になるんだから

 これくらいなんてことないのよ。


 今度彼氏ときた時ははらってもらうから。

 ね?」


「うん。ありがと。」


「ん、ちょっと適当にくつろいでいてよ、

 用事済ませたら戻るね。」


まだ開店前の店をテキパキ切り盛りする姿は逞しく、

そんな彼女にオ-ナ-は惚れたんだろうなと感心した。


私はその店内の空気にうっとりと酔う。


忘れていた目指していた世界の空気だ。




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