小さな幸せ
「 すみません遅れまして。」


そういった彼の顔を見た時、

不覚にも声を失っていた。


いい男だったから…?

なんてドラマじゃあるまいしそんなわけない。


薄暗い店内で、

彼の顔は白い歯しか見えないほど真っ黒だったのだ。

あれ?

確か日本人だったと思うんだけど。


「あの、土方さんて、日本の方ですよね?」


私は思わず聞いてしまった。


「え?そうですけど。」


しばらく間をおいてから。


「すみません、

 職業がら外でいることが多くて日に焼けちゃって。

 酷いですよね?

 今年は日差しが強くて、

 例年になくこんがり焼けちゃいました。」


そうやって笑う口だけしかよく見えないその人は、

笑顔から溢れる白い歯が

余りにも爽やかで

私のハ-トを鷲掴みにしてしまった。



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