図書室で・・・




「えー。ここ、訳できるやつー。前に書いて~?」


森先生の独特の口調が教室中に響き渡る。

一応担任の先生だからきちんと授業を受けている生徒がおおい。



「じゃあ・・・・。」

みんなの顔を見回して・・・・・



「じゃあー、工実。GO。」

黒縁の眼鏡をすらっとした長い指で上にあげる。


男子も女子にも関係なく下の名前で生徒を呼ぶ。


こんなところが私が先生に惚れた部分でもある。
他の先生とちょっと違う所だし・・・・




「おーい。工実?」

「えっ。ああ。」

席を立ち、ホワイトボードに答えを書いていく。


「ありがとう。」




ありがとうって言われた。


こんなことでも嬉しかった。








< 5 / 98 >

この作品をシェア

pagetop