聖石戦隊 キラレンジャー
「哲平くん、今日はありがとうね」

下を向いてこぶしを握りしめる。

「俺は、なんにもしてないぜ・・・」

「えー、毎年ずっとおめでとう言ってくれるのは、すっごく嬉しいよー」

はっとした。

プレゼントって、気持ちだと思うよ。おめでとうの気持ちがこもってれば、なんでももらっても嬉しいと思う。

俺は考えすぎていたな。

蛍の言っていた通りだった。

「悠月、それ開けながらちょっと待ってろ!」

テディベアの入った包みを掴ませて、ダッシュで駆け出す。

悠月は一瞬首をかしげてからラッピングをとく。箱から覗く愛くるしいテディベアに満面の笑みを見せて、頬を寄せた。

そうして待った10分後。

ゼエゼエ激しく息する哲平が帰ってくる。相当走ったようだ。

手には、花束。

バラがメインで、ピンクと白の小ぶりな可愛らしい花束。

悠月の目の前に差し出す。

難しい言葉もいらない。素直に伝わればいい。

「誕生日、おめでとう」

彼女はぽかーんとしていたが、やがて声をあげて笑い始める。

「哲平くんらしくなーい。でもありがとう。今までで一番思い出になったー」

花束を渡すのに指が触れる。

恥ずかしくてそれ以上なにも言えなかった。



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