深海の眠り姫 -no sleeping beauty-





環をベッドに寝かせてやると、いよいよ彼女の身体の頼りなさが如実に見せつけられる。


キングサイズのベッドは彼女には大きすぎるのか。そう思い、思わず笑ってしまいながら俺はベッドの端に腰を下ろし、彼女の頬を撫でた。




(…身体はガリガリのくせになぁ)


指先から伝わる肌は吸いつくようで、頬は想像以上に柔らかい。
起こしてしまうかと心配したけど、規則的に上下する胸の動きからは熟睡していることがわかって。


どうしてこの女にここまでしてるんだ?とふと疑問に思いながら彼女を見つめた。
………環の言うとおり俺は別に女に不自由してないし、環の面倒を見る義理もない。



「………変なの」


うっかりそう口にしてしまったけど、彼女が起きることはなかった。





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