ようこそ!マル質番外編
つ・い・で・に。


小さな小さな黒猫は、相方のいなかった雛田に引き取られたのだった。


「久しぶりに会った月夜を見たら、なんや一人でおるのがもったいない気がしてな。」


花見客が三々五々引き上げて行く中、月夜が花の管理人にお詫びに行っている間に雛田は白梅に言った。


「あいつ、お前が来る前・・・一年前よりずっとイイ顔するようになったで。」


そうして広い肩に黒蜜を乗せ、白梅の頭をがしがし撫でると手を振り帰って行った。


黒蜜は疲れきって眠っていたが、その顔はとても穏やかで、白梅は安堵のため息を付いたのだった。


そして月夜は。


肩に白梅を乗せ、背中に黒椿をかついで今年も愚痴を言いながらマル質本舗へ引き上げていった。


「まったく、どっちが兄だか分かりませんよ。」


ぼやく月夜の肩で、白梅は静かに微笑んだのだった。



         おしまい。
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