初恋図鑑【完】


その日から、私は、たびたび放課後練習を休むようになった。



そんな私を心配した先輩たちは、よくメールを送ってくれる。



それに、真島くんにも今日、『顔色悪いよ?大丈夫??』と、言われてしまった。
 



なんか…皆に迷惑かけてしまって…申し訳ない…



そんなことばかり考えていると気が重くなった。





―――――




放課後になり、今日は練習に参加しようと意気込んでグランドに向かう私。



しかし、その途中、教室に課題のノートを置いてきてしまったことを思い出した。





私が慌てて教室に戻ると、




そこには、五十嵐くんの取り巻きの白石さんたちのグループがいた。


『ってかさ〜最近、颯太どしたんだろね…何か元気なさそうだしさぁ〜』


取り巻きの1人が心配そうに声をあげた。



『あ〜ね〜私も思ってた!白石はどう思う最近の颯太?』



『…はぁ〜マジで!やっと…最近、安藤と話さなくなって安心してたのに……』



白石さんは、大きなため息をついてそう言った。



わ、私の話?



『てか、マジ最初安藤と仲よさげだった時、ムカついたよね〜!あんまりムカついたからシメようかと思ったわ。あのまま、仲良くしてたらマジしてたし!でも、そう思ってた次の日から、アイツ、颯太に無視されてんの!マジ、うけたわ!』



きゃははと、楽しそうにわらう白石さんたちの言葉に私は血の気が引いた。




あの時、五十嵐くんが無視してくれなかったら今頃大変なことになってたかもしれない…。




そう考えた時、私は疑問を覚えた。



…タイミングが良すぎるよね…?


そう…考えてみたら不自然なのだ。



…もしかして…五十嵐くん…この話知ってたんじゃ…。




私は、そう思った瞬間、グランドへと走りだしていた。




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