あなただけを愛したい
「亜衣ちゃん?」



そう言って、先生が顔を覗き込んできた。



「えっ!?どうした?何で泣いてんだよ?」



いつの間にか、あたしの目からは大粒の涙がポロポロとこぼれていた。








「落ち着いた?」


「……はい」



あのあと……


もう出口が目の前だったから、そのまま水族館を出て、車に戻ってきた。



「ごめんなさい」


「いや、……俺、なんかしたかな?」



首を大きく横に振る。



「じゃあ、何で?」


「……えません」


「ん?」


「もう、……会えません」


「……何で?」



先生は眉間に皺を寄せて、顔を歪めた。


ほんとは、会いたい。


お姉ちゃんの身代わりでいいから……


傍にいたい。
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