愛★ヴォイス
「あの……仕事の連絡、最近出来てなくてすみません」



振り向くと、ハッピ姿の桐原さんがうつむきざまに立っていた。

閉店まで仕事だと聞いていたから、わざわざ仕事を抜け出して来てくれたに違いない。



「いえ、お手透きの時にお知らせいただけるだけでも、私はかまいませんから」

「必ず!」


勢いよく顔を上げた桐原さんと目が合う。

思わずどきりと心臓が跳ねた。


「は・はいっ」

「必ず……またメールしますから」

「わ……わかりました」


彼の真剣な言葉が、再び胸を貫く。

しかしこの胸の痛みは、これまでのかき立てられる高揚感とは違い、どこか影を刻む痛みだった。



「帰り道、くれぐれもお気をつけて――」


そう言い残して店へと戻る彼の背中を見送りながら、私は突如飛来した不安な気持ちを持て余していた。
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