君に伝える。

彩菜 side









結局石神は、キスしなかった。

「きょ、今日のところはだな!
 ハグ……で、許してやる」

少し照れながら言った石神の肩に、
軽く頭を預ける。

ゆっくりと背中にまわされる腕。
彩菜の体を優しく包み込む温もり。

体操服から匂う洗剤の香り。

「石神、いい匂いすんね」
「そうか?」
「うん。彩菜この匂い好き」
「俺とどっちが好き?」
「石神」

……………あれ。

んあ!?
彩菜今何言った!?
誘導質問!?

ぎゃぁぁぁーーー!!

「ちょ、離してー!恥ずかしいー!!」

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