君に伝える。
「たっくん!」
「…且元…」
「話があるの。マジメに聞いてね?」
なんだよ、今取り込み中なんだけど。
俺の心の中取り込み中なんだけどー!
「あたしと、付き合ってくれないかな?」
「何、且元本気で言ってる?」
「本気だよ。…あと、眞悠子って呼んで」
マジかよ。
あの且元が?
俺に?
告白?
どうする俺!
佐藤は将器と付き合ってる。
ってことは俺の恋が叶う日は来ない。
別れたら可能性はあるけど、
いつ別れるか分かんねぇ。
ってか、別れるかどうかも分かんねぇ。
自暴自棄ってこういうこと?
もう、且元と付き合っていいんじゃね?
誰でもいい、とにかく愛が欲しい。
「…いーよ。付き合おっか」
「本当!?眞悠子って、呼んでね!」
「眞悠子」
「あは!じゃあ、辰巳?」
「辰巳って呼ぶな!!」
あ………
つい、本音が。
本当は、佐藤に呼んで欲しかった名前。
“辰巳”
そう呼んで笑う佐藤を、想像してた。
でも、今は違う。
“将器”
そう呼んで笑う佐藤しか、想像できない。
佐藤の愛が、欲しかったんだ。