君に伝える。
知ってるよ。
だって見たもん。告白されてるとこ。
でもね、あたし現実逃避してた。
心のどっかで、あれは見間違いだって。
きっと、悪い夢を見てるんだって。
そのツケがまわったのかな。
原岡君の口から、
そんなこと聞きたくなかったよ。
「あーあ、言っちゃった」
「にゃにを?(何を?)」
「好きになっちゃうってか、
好きなんだけどさ」
一体何を言ってるんだろう??
且元さんのこと?
改めてあたしに好きだと言ってるの!?
付き合ってる時点で大ショックなのに…
さらに追い打ちっ!?
且元さんのこと、本気で好きなのか……
「誰のこと言ってるか分かってる?」
「きゃちゅみょちょしゃん」
「何言ってるか分からねぇ」
原岡君はあたしの顔から手を離した。
まだ残ってる温度。
原岡君の、手の温かさ。
今は初夏だから、正直暑かったんだけど…
「且元さんのことでしょう?」
「………これだから天然は嫌だよ」
「あたし天然じゃ…」
「天然だよ。全然分かってねぇじゃん」
「違うの?且元さんのことじゃないの?」
「違う。全く違うよ」
彼は、顔を真っ赤にしてこう言った。