君に伝える。
「うわ、エグれてるじゃねぇか」
「エグれてるって...?」
「彫ったみたいな感じだ」
「うそ!?そんなに深い?」
「おう。だからこんなに血出たんだ」

うわぁー...
意外と深かったんだ。
絆創膏で治るかな。

「保健室は...あー、今日先生休みだ」
「絆創膏、あるよ?」
「貸してみ」

胸ポケットから絆創膏を取り出す。
原岡君に渡す。

「ちょ、待ってろ」
「...?うん」

彼はティッシュを取り出すと、
水道へ行って少し濡らした。

「ちょっと痛いかも」
「大丈夫。あたし鈍いから」

そう言うと、優しく微笑んだ。

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