たまゆら。









――彼は、覚えているだろうか。




あの日見た空の色、
私の声、
指先に籠ったままの熱い体温を。


長い人生の中で、それはほんの一瞬だった。







でもあのとき確かに、

心が音を立てたのを。



私は、その日を思い出すたびに、
何度もあの気持ちを胸に甦らせることができる。





――今となればそれも、少しずつ

少しずつ、薄れてきたけれど。









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